総社市清音の般若寺様にて、石碑や巻き石の据え直し工事、 お地蔵様の修復

倉敷・総社のお墓・石材専門店として、親子3代、お墓や石材に関するお仕事をさせていただております、大森石材店です。総社市清音の般若寺様にて、石碑や巻き石の据え直し工事、 お地蔵様の修復を行いましたので、ご紹介いたします。

 

総社市清音 般若寺 石碑・巻き石直し お地蔵さん直し

 

地元清音のお寺様より、石碑やお地蔵様などの修繕をご相談いただきました。さっそくお寺様で状況を確認させていただきました。

 

こちらがご相談の石碑等です。かなり長い間お寺様で守ってこられた石碑や石仏などで、一見して右に大きく傾いているのが分かります。印のように、周りを囲む巻き石もずれてしまっています。また、巻き石はすべて幅が違うものが使われていました。お寺様のご希望は、全体にきれいにしてほしいとのことでしたので、傾きを直すだけでなく、巻き石も含め全体的な手直しを行うことになりました。

 

工事に入る前に、お寺様にお経を上げていただき、お地蔵様にも工事のご報告をしました。まずは、石碑と石仏を据え直す工事から開始です。一旦すべて取り外します。手前にあった水鉢や花立等から取り外しています。

 

取り外した後、傾きを直しながら据え直します。クレーンで吊っている大きな石碑は、いま加工を行っている石の台座の上に置かれていましたが、底面が不安定でした。そこで、よりしっかり据えられるように下の石を加工してから据え直しました。

 

据え直しが終わったら、巻き石の据え直しに入ります。こちらは向かって左端の巻き石があった場所です。木の根が巻き石を動かしてしまって、ズレが生じていたようです。ただ、全部切ってしまうと木が倒れてしまうかもしれませんので、お寺様や造園の方とお話して、ここは必要最小限の根だけを切って、据え直すことになりました。

 

こちらは石碑の正面です。ここにもかなり太さのある根がありました。

 

今回は据え直すにあたり、巻き石の下にL字型に基礎コンクリートを打ってから据えようとしていましたが、角の部分は樹木を守るためにこのような形で基礎を施工しました。コンクリートがしっかり固まったら完成です。

 

基礎を打ったあと、巻き石を据える準備をしています。巻き石の幅がすべてバラバラだったので、現地で加工して揃えました。「コヤスケ」と呼んでいる道具で、石を少しずつ切っていきます。

 

こちらはさきほどの石碑の右横にある記念碑の前におられたお地蔵様です。かなり古いお地蔵様で、頭の一部と右手が欠けていました。その場でも落ちていないかと探してみたのですが見当たらなかったので、当社で石を継いで修復を行うことになりました。

 

工場で右手を修復しているところです。割れた部分に新たな石をくっつけてから、細部を加工します。

 

加工が終わったお地蔵です。もともとお地蔵様に使用されていた石は豊島の方で昔採れていた石だと思うのですが、今は手に入らないので、特徴の似た石として熊本の島崎の石を使用しました。

 

加工した部分に色付けをしています。新しく付けた石は新品なので、ほかの部分との違和感が大きくならないように、あえて色付けて自然に仕上げます。

 

お地蔵様の修復も終えて、工事完了です。

 

大きく傾いていた石碑もまっすぐに据えられて、石仏もきれいにならんでいます。不安定だった大きな石碑の底面もきちんと固定しました。

 

横から見たところです。バラバラだった巻き石の幅もきれいに揃っています。ズレもなくなり、きれいに整えられました。今回は、現地で古い巻き石を手加工して据え直しました。工場へ持ち帰って機械でカットすれば早く終わりますが、もともとの石は昔ながらのノミやコヤスケを使って加工されたものでした。今回あえて手加工したことで、昔の職人さんの息遣いが分かるような味わいある雰囲気を壊すことなく修復できました。

 

修復を終えたお地蔵様です。色付けをしたのでとても自然に仕上がっていますね。これからも末永く、お越しになる皆様を見守っていただきたいです。

 

工事を終えて、完了のご報告も差し上げていますが、まだ直接はお会いできていないので、次に会う時にご感想をいただけるのを楽しみにしています。こちらを信頼して「お任せします」とおっしゃっていただけましたので、私どもも安心して作業をすることができました。このたびは当社にご相談くださいまして、ありがとうございました。

今回は、古い石碑や石仏、巻き石の据え直しや修復工事でした。これまでお寺様が長い間守ってこられたものを、今後も守って後世に伝えていくお手伝いができて、大変光栄でした。新しいものに取り換えるのは簡単ですが、修復できるものは可能な限り修復することで、これまでの歴史とともに次の世代に伝えていくことができます。そのためにも、石工としての加工や修復の技術を今後もより高めていきたいと改めて感じました。