岡山市北区の寺院墓地にて、傾いたお墓の据え直し、納骨室の拡張等

倉敷・総社のお墓・石材専門店として、親子3代、お墓や石材に関するお仕事をさせていただております、大森石材店です。岡山市北区のお寺様墓地にて、傾いたお墓の据え直し工事をさせていただきましたので、ご紹介いたします。

 

岡山市北区高松 寺院墓地 先祖墓・巻き石傾き直し 納骨室拡張

 

岡山市内のお寺様墓地にて、お墓のご相談をいただきました。当社で建立したお墓ではありませんでしたが、電話帳に番号を掲載しておりますので、そちらをご覧になってお電話くださったそうです。現地でお会いして、詳しく状況を確認させていただくことになりました。

 

こちらがご相談いただいたお墓です。昭和46年に建てられて、ちょうど50年が経っているお墓で、お墓の傾きが気になっておられました。

 

お墓本体です。お写真では少し分かりにくいですが、右斜め後ろに向かって少し傾いています。

 

こちらは左後ろの巻き石です。石が動いてしまって、石と石の接続部分が開いてしまっています。

 

こちらは左前側ですが、完全にずれてしまっています。のちほど工事の際に分かったのですが、お墓の真下にはブロックで大きな納骨室が作ってあったものの、お墓に対して基礎の表面積が狭いことが傾きの原因と考えられました。50年前の工事なので、十分な基礎工事ではなかったのかもしれません。そこで、お墓が傾くことなく、安心してお参りできる基礎を施工して、据え直しを行うことになりました。

 

宗教儀式をしてご遺骨の取り出しをしたら、工事開始です。まずはお墓や墓誌を取り外しました。お見積りの時には分からなかったのですが、その下からはこんな大きな納骨室が出てきました!

また、今回の墓地は昔からある墓地なので、お墓とお墓の間に通路がなく敷地いっぱいに建っていて、工事場所の確保が難しい現場でした。そこで、お隣の田んぼの持ち主の方にお話しすると、特別にあぜ道を使わせていただけることになり、なんとか工事を行うことができました。ありがとうございました。

 

ブロックの大きな納骨室はすべて取り外して、くぼんだ部分は埋めました。その後、お墓と巻き石の基礎を打つところです。砕石を入れて地盤をしっかり固め、木枠の中に鉄筋を組みました。これからコンクリートを流し込みます。

 

コンクリートを打って表面をきれいにならしたら、しばらく養生して基礎が完成します。お隣との隙間もあまりありませんが、もともとの墓地の範囲以上にならないように、寸法に注意して巻き石の基礎を打ちます。

 

こちらは、納骨室の加工に関してお客様にご説明差し上げた際のお写真です。お墓の台座の内側が納骨スペースになるのですが、昔ながらのお墓なので、石の内側はこのように自然のままのような形になっています。現状では、通常使用される6寸のお骨壺で6つ入りますが、印をつけた箇所まで石を切削すると、9つ納めることができるようになります。ご説明すると、将来を考えて納骨スペースを広く確保しておきたいとのことで、拡張をご依頼いただきました。

 

工場へ持ち帰り、加工に入ります。二つの石を組み合わせた台座の内側それぞれを、コの字にカットしていきます。

 

左は、機械で横2ヵ所に切り込みを入れ、さらにドリルで穴を開けたところです。ここにセリ矢をハンマーで打ち込んでいって、右側のように割ります。これで広い納骨スペースを確保することができました。

 

現地では基礎が完成して、既存の巻き石を据え直しました。

 

巻き石は、印のようにステンレスのアンカーで石と石を繋いで固定します。今回のお墓は50年前に建てられたお墓なので、もともと巻き石の側面はかなりデコボコしていました。そのため、アンカーを取り付ける部分は現地で切削して表面をまっすぐにしてから打ちました。巻き石と基礎との間にセメントを充填し、しっかり固定します。

 

こちらは角の部分です。ここでも同じようにデコボコの場所を平らにカットしてから、コーナーに適したL字のステンレスアンカーを打ちました。

 

巻き石と同様、入口の階段も据え直しました。こちらも地盤改良して鉄筋を入れた基礎をしっかり施工してから、据え直しをしています。

 

お墓と墓誌も据え直して完成です。傾きもなくなり、安心してお参りいただけるようになりました。お客様は、敷地の外にお祀りしていた小さいころに亡くなった仏様のことも気にかけておられたので、新たにお地蔵様を建立してご一緒にお参りできるようにしました。

 

ズレていた巻き石は新しく施工した基礎の上に据え直し、今後ずれたり開いたりしないようにしっかり固定しましたので、安心してお参りいただけます。

 

全体に明るい色合いの五色の砂利を敷き、お墓の後ろにはステンレスの塔婆立てを設置しました。また、工事にあわせて、お施主様がお寺様からいただいた生前戒名の彫刻もさせていただきまた。

 

お寺様がおっしゃるには、工事の終わった日が暦の上でもい日とのことで、建ってその日のうちに開眼供養となり、私どもも立ち会わせていただきました。お施主様には大変喜んでいただけて、お墓を継いでいく次の世代の息子様と奥様もとても喜んでくださいました。このたびは当社に工事をお任せいただきまして、ありがとうございました。これからもどうぞ末永く、ご家族仲良くお参りいただければ嬉しい限りです。

今回の工事では、墓地の立地上場所の確保が難しく、いわゆる難所と言われる場所での工事でしたが、あぜ道を使わせていただいた2家の方は快く了承くださって、大変ありがたかったです。改めてお礼申し上げます。

また、納骨室の拡張は、工事中に急遽決まったことでした。自社工場があり、日々加工を行っているからこそ、追加のご要望にもスムーズにご対応することができました。そのほかにも、現地の状況に即した施工など、ひとつひとつの現場で学んでいる最中の3代目の息子にとっても、勉強させていただく点が多かったようです。貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。